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深刻な湾岸地域の模倣品流通

当工業会では、知的財産権部会が中心となり、海外市場での模倣品追放活動を展開しております。今年度は、昨年の上海に引続き、模倣品が多く取引されている中東のドバイで自動車部品の見本市に出展し、模倣品と真正品の比較展示や映像を通し不良部品の危険性を来場者に訴えました。ドバイでは東アジアから入ってくる多岐に渡る自動車部品が中央アジアや中東・アフリカ諸国へ再輸出されており、相当量の模倣部品が取引されています。以下にドバイでの出展を通した模倣品対策活動の概要と模倣品流通の実態をご紹介します

1.オートメカニカ・ミドルイーストでの模倣品追放活動

オートメカニカ上海

当工業会が本年4月に会員企業を対象に実施した模倣品被害調査結果によると、海外市場での模倣部品の発見数は年を追って増えており、その数は2003年の85件から2006年には163件へと増えている。発見された地域はアジアの42%を筆頭に、世界の主要市場全域に及んでいる。中東・アフリカ地域はアジアに次いで模倣品が多く発見されており(14%)、その対策が急がれていた地域であった。

今回は、メッセ・フランクフルトが主催するオートメカニカ・ミドルイースト(2007年5月27日~29日 開催地 ドバイ)に54㎡のスペースを確保し、JAPIAと会員企業11社が共同で模倣品の追放を訴えた。出展内容は、各社が集めた模倣品と真正品の比較展示、映像による不良部品の危険性紹介など。あわせて、来場者へのアンケート調査と会場内での模倣品調査も実施した。


2.攻勢をかける中国製自動車部品

オートメカニカ上海

今回のショーでは中国企業(代理店を含む)の出展が突出して多かった。全出展者811の3分の1にあたる276を中国企業が占めていた。このことからも、中国製自動車部品が湾岸地域を中心にかなりの規模で取引されていることが容易に想像できる。中国以外で出展が多かったのはイタリア(58)、台湾(60)、トルコ(46)、ドイツ(38)、タイ(29)などであった。

会場内では日本企業かと思わせるような企業名の出展者が散見されたほか、類似商標やロゴの類も目についた。ドイツのボッシュやコンチネンタルの関係者とも情報交換をしたが、いずれも湾岸地域にはかなりの模倣品が出回っていることを示唆していた。


3.深刻な模倣品の氾濫

オートメカニカ上海

ドバイ市内には自動車部品の輸入・卸商が200軒ほど軒を連ねる地域がある。我々は複数の日系大手部品メーカーの製品を扱う代理店の案内で部品商街を視察したが、アラブ系、インド系、中国系、ロシア系など顧客の市場別に部品商が所狭しに並んでいるのを目の当たりにし、ドバイの重要性を改めて認識させられた。純正品を扱う店は店内の棚に部品が整然と並べられているのに対し、グレー商品を扱う店は店舗が小さく、店内も雑然と商品が積み上げられていた。最近は、明らかに模倣品とわかる品は店内には置かず、客筋を確かめて倉庫に案内している、とのことである。

案内してくれた代理店の話では、自動車部品の輸入額は2004年の35億ドルから2005年には49億ドルへと大きく増えているとのこと。ドバイからの流れでは、外貨不足のイランに代わり、最近はアフリカ向けが拡大しているとのこと。これまでの北アフリカ、東アフリカ向けに加え、仏語圏の西アフリカ諸国向けもドバイ経由が増えている由。また、北の地域ではイラン、イラク向けに加え、ロシア・CIS諸国向けの貨物も多くなっているようだ。模倣品はバルクで輸入され、ドバイやサウジアラビアで小分け梱包され輸出されているとのこと。また、アフリカ諸国では日本のブランドが好まれ、模倣品と承知の上で取引されているという。なかでも、リビア、スーダン、ナイジェリアは模倣品大国となっているとのこと。


4.望まれる企業の対応

オートメカニカ上海

今回の出展では、上海での反省点を踏まえ、参加企業に対し知財部門と海外営業部門とが一体となって活動していただくようお願いした。特に、湾岸地域では駐在員を置いている企業が極めて少なく、マーケットの実態が十分に把握されているとは言いがたい。その意味で、今回の各社の対応は大きく改善されたと言えよう。現実に、展示会で中国企業の圧倒的なプレゼンスを目の当たりにし、彼らがいかに熱心にこの地域での取引を拡大しようとしているか、そして、このことは、相当数の規模で低価格の類似部品が市場に浸透しつつあることを如実に物語っている。

いみじくも現地代理店の責任者が述べたことであるが、模倣品の氾濫を許しているのは、取締りを行う政府当局のみならず、ドバイの輸入商や日本の商社にも問題があるという。日本の商社がマーケットの知識なしに注文を受けたり、日本の部品メーカーが販売を現地代理店まかせにしたり、模倣品排除のために積極的に行動しないことが代理店を苦境に追いやっている、との事実も指摘された。一例として、模倣品対策のためパッケージのデザインを変えたまではよかったが、デザインの変更を周知徹底しなかったため、今では新パッケージが模倣品と疑われて敬遠されているという笑えない話も聞かされた。模倣品排除のためには、それぞれの部品メーカーが明確な対応方針を打出し、それを販売の末端にまで徹底させることが必要、との提言は重く受止めなければならない。

展示会終了後、われわれ代表はドバイ警察と税関を訪問し意見交換を行った。そこでも言われたことは、企業が事前に商標登録など対抗できる法的措置を取っていないと摘発は難しい、ということであった。また、必要なことには金を惜しまない姿勢も大事なことと思われる。例えば、類似商標まで想定して商標登録を行うとか、パッケージの変更を末端まで浸透させるための広報宣伝費を手厚くするなど、大所高所からの視点に立った判断が必要ではなかろうか。悪貨が良貨を駆逐することの無いよう、メーカーによる現地販売店の一層の支援が望まれる。


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