2025年度 日本自動車部品工業会 茅本会長 のご挨拶

2025年5月22日(木)、経団連会館において、令和7年度の本部・通常総会を開催いたしました
同日実施の記者会見での、茅本新会長のご挨拶をお知らせいたします。


 

― 2025年5月22日 記者会見 茅本会長 ご挨拶 ―
■会長 茅本 隆司(日本発条株式会社 代表取締役会長)

皆さん、こんにちは。
日本自動車部品工業会の会長を拝命しておりますニッパツの茅本です。
早いもので昨年5月に会長を拝命してから一年が経ちました。
こうして大勢の報道関係の皆さんを前にお話しするのは、就任時の記者会見以来ですから、一年ぶりとなります。
本年度も引続き、自動車産業が直面する課題に対応し、「サプライチェーンの強靭化」と自動車産業全体の「競争力強化」を目指してまいります。
特に、部工会会員の約8割を占める、中堅・中小企業が抱える課題解決にもしっかりと対応していく所存です。

自動車産業は、電動化の進展、サプライチェーンの複雑化、環境規制の強化など、これまでのビジネスモデルでは対応が難しくなっています。
また、地政学リスク、経済安保などが顕在化して、サプライチェーンの再構築、レアメタルや半導体等の供給確保も喫緊かつ大きな課題です。
部工会では、取引適正化、物流強靭化への取り組みに加えて、これらの技術進化、環境・社会変化などに対応する為、昨年度に続き、
 ・取引適正化
 ・物流強靭化
 ・外国人技能実習制度の見直し
 ・カーボンニュートラル
 ・サーキュラーエコノミー
 ・レジリエンス強化
 ・データ基盤連携
 ・オープンイノベーション
といった、8つの重点テーマを掲げて、会員企業の皆様とともに、日本の自動車産業の成長を支える活動を推進していきます。

「取引適正化」に関しては、サプライチェーン全体での適正な価格転嫁を推進し、一定の成果を上げてきました。
中企庁の価格転嫁促進月間のフォローアップ調査結果の順位も上昇しており、政府からも自動車産業の取り組みに高い評価を頂戴しています。
しかしながら、労務費転嫁やサプライチェーン全体への浸透には引き続き課題が残っており、まだまだ努力が必要です。

また、型管理については、大変残念なことに、今年に入ってから自動車部品メーカーが相次いで、公正取引委員会の下請法違反勧告の対象となっています。

今年度も、適切な労務費転嫁の実現と、適正な型管理の徹底を行うと同時に、これら課題のサプライチェーン深くへの浸透を強めていきます。部工会は今年も襟を正して、取引適正化にしっかり取り組みます。

また、昨年7月には、自工会との初の正副会長懇談会を開催し、今年1月には第2回を行いました。今後も定期開催することになっています。
言いたいことを言い合える関係、とまでは申しませんが、間違いなく距離感が縮まり、一緒に同じ方向に歩みを進める関係になってきました。
これを契機に、両会の連携のレベルを引き上げ、自動車産業の課題の解決を加速しているところです。
まずは、労務費転嫁、型管理、品質適正化の3つの分野を中心に、両会で取り組むべきテーマを掲げ、具体的な成果を出すように活動してまいります。
政府・自工会・関連団体と緊密に連携しながら、重点テーマに取り組み、さらなる成長を実現する道を切り開いてまいります。

さて、ホットな話題です。
現在、自動車産業の前にはトランプ政権の追加関税という大きな壁が立ちはだかっています。自動車に対する25%の追加関税が4月3日に発動され、自動車部品に対しても5月3日に発動されました。
米国内の自動車産業の為として、関税影響の軽減策もいくつか発表されましたが、それでも重大な影響が見込まれます。
閣僚レベルの日米の第3回交渉が間もなく始まるとされています。
報道によれば、追加関税全ての撤回を求める日本と、自動車と鉄鋼・アルミを交渉の対象外とする米国の立場には大きな開きがあるようです。
政府に対しては、引き続き米国との粘り強い交渉をお願いしています。
そして、中堅・中小企業を守る為の、資金繰りを含めた当面の支援策をまず実施していただいています。
さらに、サプライチェーン全体でのモノづくり力を維持、強化する為に、自動車国内生産を減らさない施策を講ずるよう、お願いしてまいります。

自動車産業に関わる550万人の仲間の為に、自工会と部工会は連携を更に強めて、そして政府、関係諸団体と緊密に連携しながら、重点テーマに取り組み、成長を実現する道を切り開いてまいります。
昨年の記者会見でお話しして以来、「入って良かった部工会、あって良かった部工会」をキャッチフレーズとして活動してきました。
部工会会員の皆様には「部工会に入っていて良かった」、会員ではない皆様には「部工会があって良かった」と感じていただき、更には部工会の内外から、「無くてはならない部工会」と言っていただけるよう、努めてまいります。
本日は貴重なお時間を頂戴いたしましてありがとうございました。