自動車産業の競争力強化に向けた適正取引の更なる推進のお願い~自工会・部工会 両会会長メッセージの発信~

2025年4月、経済産業大臣より自工会・部工会に対し、価格転嫁・取引適正化に関する更なる取組みの要請を受けました。
厳しい社会・経済情勢の中にあっても、適正取引の継続的推進は自動車産業の競争力強化に不可欠との認識を、自工会・部工会 会長・副会長懇談会(7月16日)でも確認しています。

適正取引の取組みをさらに発展させ、各社の事業活動に確実に落とし込み、今後も継続的に推進いただくよう、両会長連名によるメッセージを発表いたします。



会員企業代表者各位
 

自動車産業の競争力強化に向けた適正取引の更なる推進のお願い
 

平素より、日本自動車工業会(以下「自工会」)および日本自動車部品工業会(以下「部工会」)の活動にご理解とご協力を賜り、誠にありがとうございます。

自工会と部工会は、日本の自動車産業の、サプライチェーン全体の競争力強化と明るい未来のため、両会正副会長から実務担当者に至るまで、緊密な連携・協働体制を構築し、歩調を合わせた取組みを進めています。連携活動の柱として、『適正取引の推進』、『競争力の強化』、『新たな価値/社会要請への対応』 の3つを掲げ、それぞれに具体的なテーマを選定し、活動しています。

中でも 『適正取引の推進』 は、日本の経済全体の好循環につながる活動であり、競争力強化に必要な足場を固める取組みとして、両会が連携して継続的に推進することが不可欠であると考えます。社会・経済情勢は、さらに厳しい局面を迎えることも懸念されますが、そのような状況においても、これまで進めてきた取組みを緩めることはできません。

つきましては、『適正取引の推進』 における喫緊の課題への対応として、以下2点の取り組みを会員各位にお願いさせていただきます。

1.労務費の価格転嫁

中小企業庁による2025年3月の 『価格交渉促進月間フォローアップ調査結果』 によれば、自動車産業における価格転嫁は、皆様のご努力により着実に改善が進んでいます。その一方で、発注側・受注側間で価格協議・価格転嫁の認識に差異があるなど、依然として課題が残されています。
適正な価格転嫁の実現は、賃金上昇をはじめとする経済の好循環をもたらすものです。サプライチェーン全体への浸透に向けて、「労務費転嫁指針」に沿った公表資料の活用などを含めた 『皆様ご自身の取引先との真摯な協議』 と、取引先イベント等を活用した、『さらにその先の取引先との能動的な協議の呼びかけ』 をお願いいたします。

2.型取引

昨今、型の無償保管に関する公正取引委員会からの下請法違反勧告が相次ぎ、また 『型等の保管』 に関する具体的な指針が示されるなど、法的な要請が一段と強まっています。自社資産か取引先資産かに拘わらず、実質的に自社の指示により取引先に型を保管いただく場合は、保管費用について十分な協議のうえ、お支払いいただくようお願いいたします。
また、不要な型の廃棄の促進により、保管費用の削減、ひいては自動車業界全体としての競争力向上につながります。
各社におかれては、保管費用や廃棄に関する明示的な協議の着実な実行を、お願い申し上げます。

今後も、自工会・部工会は、適正取引と競争力強化に継続して取り組んでまいりますので、引き続き本活動へのご理解を賜り、『自主行動計画』 『徹底プラン』 の再徹底と、各社での主体的なお取組みを改めてお願い申し上げます。
 

一般社団法人 日本自動車工業会 会長 片 山 正 則
一般社団法人 日本自動車部品工業会 会長 茅 本 隆 司